優れた才能や器量を持った人物は人を拒むことはしない/言志四録より


幕末志士で明治維新の立役者である西郷隆盛が座右の書としていたことで知られる「言志四録(げんししろく)」は、美濃国岩村藩出身の儒学者佐藤一斎が、自身の晩年に書き残した語録集で、全部で1133条から成り、4つの書物で構成されています。

佐藤一斎の人生観はもとより、学問に対する姿勢、処世術、リーダーシップ論など、多岐にわたる思想や教えが凝縮されています。

今回は、「言志晩録」249条を取り上げたいと思います。




小才は人を籞ぎ(ふせぎ)、大才は物を容る(いる)。

小智は一時に耀き、大智は後図(こうと)に明らかなり。


 現代語訳

小才の人間は他人を受け入れず自己防衛するが、大才の人物は、他人の意見をよく受け入れる。小さな知恵は一時的に輝くこともあるが、大きな知恵は後世まで視野に入れている。

 

ところで、小才・大才とはどんな意味があるのでしょうか?

小才は、わずかな才能のことを言います。大才は、すぐれた才能、器量を持った人のことを言います。また、普通の人のことや才能や器量が平均的な人のことを中才と言います。

小才・中才・大才は、柳生宗矩が言った

「小才は縁に出合って縁に気づかず、中才は縁に気づいて縁を生かさず、大才は袖すり合った縁をも生かす」

から由来しています。

確かに器の小さい人は他人を受け入れることがなかなかできませんね。そのくせ、責任転換、つまり、他人に責任を押し付けたり、自分の非を認めなかったりします。

ちょっとした才能しかないので、アイデアが浮かんでもそれはあまり良くないもので、採用されたとしてもすぐに問題が起きたりします。

一方、大才である人は他人の意見を受け入れる、すなわち、他人に耳を傾けることができるので、情報収集ができ、知識も高まります。ですから、将来像(ビジョン)が明確になり、アイデアがいつまでも持続出来ます。大才である人は、理想のリーダー像でもあると言えますね。


この「言志四録」は、先に述べたように、明治維新の立役者西郷隆盛をはじめ、佐藤一斎の孫弟子にあたる勝海舟・坂本龍馬・吉田松陰・橋本左内たち幕末の志士がその教えを受け継ぎました。そして、現代でも指導者を目指す人々の必読書となっています。


興味を持たれた方は下の書名をクリックしていただき、お読みください。





最後までお読みいただきありがとうございました。



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